2018年6月30日土曜日

<書評>採用基準(伊賀泰代)

少し昔の本ですが、元マッキンゼー採用マネージャーである伊賀泰代さんの「採用基準」を読み返してみた。
タイトルは"採用"基準だけど、リーダシーップの重要性について書かれた本です。
久々に読んだけど、改めて重要なことがまとまっていると感じたので整理。

私に求められているのは、「自分で決め、その結果に伴うリスクを引き受け、その決断のお理由をきちんと説明する」ことであって、上司の指示をすべて聞き入れることではなかったのです。
伝統的日本企業というと、上意下達で上司の意見に基づいて行動する、のが当たり前だけど、マッキンゼーのようなリーダーシップを求められるような場では、そうではない。あくまでも求めらるのは、決断とそれに伴うリスクを引き受けることで、それがリーダーシップ。

辞令 によって 配属 が 決定 さ れ、「 石 の 上 にも 三年」 などと 言っ て、 実力 に かかわら ず すべて の 新人 に 下積み を 求める 組織 では、 成長 の 可能性 と スピード は 運 と 偶然 に 大きく 依存 し て しまい ます。
 そうなんですよね。日本的大企業や公務員も悪いことばかりではないのですが、運や偶然に依存する部分が大きすぎる。希望の部署につけた人、他に行く場所がない人は残るけど、不満があり、かつ、この部分を自分でコントロールできる人は外にでていってしまう。

リーダー は 組織 の 和 よりも 成果 を 出す こと を 優先 し ます。 したがって 強力 な リーダー は、 同じ 時代、 同じ 空間 を 共有 する 人 にとって は、 必ずしも「 一緒 に 働い て 楽しい 人」 では あり ませ ん。
 (中略)
結局 の ところ、 メンバー が リーダー に どこ まで ついていける か という こと は、「 その 成果 を 出す こと に、 それぞれ の メンバー が どれほど コミット し て いる か、 成果 を 出す こと を、 みんな が どれほど 重要 だ と 思っ て いる か」 に かかっ て いる の です。
(中略)
リーダー に対する 建設的 で ない 批判 の 大半 は、 この「 成果 に コミット し て い ない 人 たち」 によって なさ れ ます。 リーダー が 成し遂げ たい と 考え て いる こと、 成し遂げ なけれ ば なら ない と 考え て いる こと に対して、 賛成 でき ない 人、 自分 には 関係 が ない と 考える 人 にとって は、 リーダー とは 突っ込み どころ 満載 の 強権 者 です。 自分勝手 な 命令 者 にしか 見え ませ ん。
 確かに、ほとんどのリーダーに対する批判は、そこまでして頑張りたくない人からの批判であることが多い。一方で、リーダーであることを傘に着て、必要以上に部下を痛めつけるような言動をとったりする人も一定数いて、そうした行動は、成果を達成するためのリーダーとしての行動等は離れていると思うので、そこの区別は常に考える必要があると思った。

自分 の 成長 スピード が 鈍っ て き た と 感じ たら、 できるだけ 早く 働く 環境 を 変える こと です。 もちろん それ は 転職 で ある 必要 は なく、 社内 での 異動 や、 働き 方、 責任 分野 の 変更 でも 十分 です。
 日本人は、できるまで準備してできるようになってからやる、っていうのが好きだけど、逆に現時点ではできないこと、今までやったことがないことをやるのって、新しい学びが多く、成長にとても効果的。
そして、転職はハードルが高くても、社内での異動やプロジェクトの変更でも新しいチャレンジはできる。

一人 目 に なる こと は、 必ずしも 得 な 選択 では ない の です。 それでも「 最初 の 一人 に なる」、「 先頭 に 立つ」 こと を 厭わ ない のが リーダー です。 集団 の 前 で 何 か 新しい アイデア が 披露 さ れ、「 誰 か これ に トライ し て み たい 人 は い ます か?」 と 問わ れ た 時 に、 周り の 様子 を うかがう のでは なく、 すっと 自分 の 手 を 挙げ て、「 私 が やり ましょ う」 と 声 を 上げる のが リーダー です。
 これも日本では敬遠されることが多い。就活の説明会でも、質問コーナーに入って1人目でさっと手をあげる人って少なくて、みんな出方を伺っている。でもリーダーとして活躍するためには、そういう、誰も踏み込んでないところに(損したり恥をかくかもしれないけど)踏み込んで行くことが大事。

リーダー とは、 たとえ 十分 な 情報 が 揃っ て い なく ても、 たとえ 十分 な 検討 を 行う 時間 が 足り なく ても、 決める べき 時 に 決める こと が できる 人 です。 議論 を 打ち切り、 決断 す べき タイミング は どの 時点 なのか、 判断 できる 人 です。
(中略)
決める こと が でき ない のは、 責任 を とる のが 怖い から でしょ う。 決断 を 下す 人 には、 常に 結果 責任 が 問わ れ ます。
(中略)
しかし 過去 の こと なら ともかく、 未来 の こと に関して 十分 な 情報 が 揃う こと は あり ませ ん。 リーダー の 役目 は 過去 の 情報 を 整理 し て まとめる こと では なく、 未来 に 向け て 決断 を する こと です から、 常に 不十分 な 情報 しか 存在 し ない 中 で、 決断 する こと を 求め られ ます。
自分も意思決定のできない上司とできる上司の下で働いたことがあるからよくわかるけど 、上に立つ人が失敗を恐れて意思決定できないと、状況がどんどん悪くなることが多いんですよね。ビジネスで、テストの正解みたいに明確な答えが出ることって稀だし、むしろそういう答えのない問いに対してリスクを背負いながら決断して行くのが、リーダーでなくても1ビジネスマンとしての付加価値なんだと思う。
いつまでも”検討”を続けて、もうこれ以上は延ばせない土壇場までもつれ込んでからなし崩し的に決めるより、とりあえず意思決定して進めみて、まずそうなら軌道修正っていう方が、圧倒的にうまく行くことが多い。


ある アメリカ 企業 の 経営者 が 会議 の 席上 で「 A bad decision is better than no decision」 と 発言 し た のを 聞い た 時 は、 その とおり だ と 感じる とともに、 それ を 経営 トップ が 会議 で 公言 する こと に 驚き も 覚え まし た。 これ は まさに、 決める こと が リーダー の 責務 で ある と 理解 し て いる 人 の 言葉 です。「 ベスト な 結論 が 見つかる まで 検討 を 続ける べき だ」 などと 言っ て い ては、 お話 になり ませ ん。
「 A bad decision is better than no decision」
意思決定のできない管理職は、本当に本当に心に刻みつけてほしい。。。

なんか日本の企業文化の否定みたいになってしまったけど、もちろん日本企業でもリーダーシップを持って活躍している人は沢山いるわけで。

一方、リーダーシップが圧倒的に不足しているのも事実なので、逆にこれを身につければ、雇用市場でも頭ひとつ抜けられる。

一朝一夕では身につかないけど、なんとしても自分のものにしたいスキルですね。


合わせて同じく伊賀泰代さんの「生産性」も超一押しです。


 

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