2018年6月20日水曜日

対面での打ち合わせや電話は効率が悪いのか?

ひと昔前からコミニュケーションの手段について
「対面、電話」→「チャットなどのシンプルなもの」
という流れがありますね。
背景にある考え方は、
対面の打ち合わせは時間の無駄、電話は相手の時間を奪う行為だから電話は失礼で撤廃すべき
であって、
代わりにチャットの方が効率がいい
という事です。

確かに私も会社員時代には、「とりあえず一回ご挨拶だけ」みたいな打ち合わせで1時間とられる、
という経験をしており、
そんなんメールでチャチャっと送ってくれたらいいのに!
という思いに刈られたことは一度や二度や三度や四度ではありません。

総じて私は、形式や慣例より、効率を重視する方なので、
「チャットで済むならチャットでいいじゃん?速いし。」
と考えるタイプです。
ただ、一方で、チャットやメールより、対面や電話でコミニュケーションが有効だと感じるケースもあり、最近の、
対面、電話はとにかくNGで、チャットやメール礼賛の雰囲気に違和感を感じています。

このあたりの整理について一番腹落ちしたのは、2年ほど前にベストセラーになり日本の社会に「生産性」という言葉を行き渡らせるきっかけになった(と私は思っている)伊賀泰代さんの著書「生産性」。

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの
  • 作者: 伊賀泰代
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社

コミニュケーション手段からはちょっと離れてしまいますが、例えば、 下記では会社での「飲み会」の是非について述べられていてます。
時々、「 外資系企業 には〝 お客 さん と 飲み に いく のも 仕事 の うち〟 な ん ていう 感覚 は ない ん です よね?」 と 聞か れる こと も あり ます が、 そんな こと は あり ませ ん。 達成 す べき 成果 目標 が、「 相手 の 警戒 感 を 解き、 こちら の 新 メンバー に 親近感 を もっ て もらう こと」 や「 不満 が たまっ て いる よう なのに、 はっきり 指摘 し て もらえ ない。 問題 の 原因 を 聞き出す 必要 が ある」 ので あれ ば、 飲み 会 は 非常 に 生産性 が 高い 方法 です。
<伊賀 泰代. 生産性>
「飲み会」=「悪」という一律な考えではなく、状況(=達成すべき目標)によっては、有利になる場合もあるよ。ということです。

また、以下の箇所では会議の短縮に関する話に触れられています。
長時間 の 残業 や 無駄 な 会議 を 減らす こと が 解く べき 課題 として 設定 さ れ て しまう と、 解決 方法 は「 ノー 残業 デイ の 設定」 や「 会議 時間 に 上限 を 設定」 といった コイン の 裏返し に 終わっ て しまい ます。 「コイン の 裏返し」 とは、 本質的 な 課題 を 放置 し た まま 問題 を 反転 さ せ て 解決 方法 と する、 問題 解決 の 悪例 を 示す 言葉 です。
<伊賀 泰代. 生産性>
会議や残業の目的は「時間を短くする」ことではなく、「必要な成果を達成すること」なので、時間の短さだけにこだわっても意味がない、ということです。

同じ考え方が、最近のコミニュケーション手段の議論について適用できるんじゃないかなと思います。

コミニュケーションの目的というのは、単純に状況を共有する、相手を説得する、頼みごとをする、はたまた謝罪する、など色々なものがあります。
そして、それぞれの状況よって最適なコミニュケーションの手段は違ってくるはずなのに、最近は、
電話、対面は時間がかかるからダメ!メールやチャットが短時間で終わるので効率がいい!
という風に、
コミニュケーションの達成目標を、できるだけ時間をかけない事と置いてしまっている
気がします。

もちろん、同じ成果を達成できるなら、時間は短い方がいいですし、多くの人は、それを当然の前提としていると思うのですが、
連絡はチャットやメールを利用して何が何でも時間を短くするべき
という部分だけ強調されすぎている感もあり、そこは注意が必要です。

コミニュケーションの目的が何なのか、をはっきり理解しないで、盲目的に、
時間が短くて楽だからチャットで連絡しよう
という選択をしていると、

連絡はとった。時間の短さを重視してチャットで送った。でも成果はいまいちでもう一回やり直し。

で結局時間がかかってしまう、なんてことになりかねません。

繰り返しますが、コミニュケーションの目的は、
目標としている成果(共有、説得、依頼、謝罪など)を達成することです。
盲目的に時間の短さだけに着目して手段を選んで結局うまくいかないのは、

丁寧にやるべき仕事を、スピードだけ重視で、雑にばばーーっと片付けて、結局やり直しになってしまうのと同じことです。

コミニュケーションの手段に限ったことではないですが、大切なのは、
達成すべき成果を明確にして、それに最適な手段を選ぶ事。
です。

日本は結構流行り廃りがあったりして、盛り上がるときは一気に盛り上がり、
下がり始めるとあっという間にみんな離れていく
みたいな傾向がありますが、世の中の雰囲気に流されないで、自分に最適なものを考えていくことが必要かもしれません。

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの
  • 作者: 伊賀泰代
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社

なお、電話や対面による打ち合わせを推奨しているのではなく、あくまで、目的にあった手段を選ぼうという話です!私はシンプルなコミニュケーション手段推進派です。
あと、いきなり営業の電話かけるとか、相手の時間を当然のように奪うのは、効率とか以前にマナー的に問題あると思っています。。。

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